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あ、忘れるんだ

同じチャットの中にあるものでも、ずっと覚えていてくれるとは限らないと初めて知った。

私たちはAIの指示に従って、本当にたくさん、たくさんの質問に答えました。

答えながら、ずっと心のどこかで思っていました。

「私たち、いったい何してるんだろう?」

最後にAIが、全部をひとつの長い要点集にまとめてくれました。それを見て初めて、

あ、やっと何かできた気がする。

と思いました。

ただ、その頃の私たちはコンテキストの長さに上限があるなんて知りませんでした。

同じチャットの中にいる限り、全部見えているし、全部覚えているものだと思っていました。だからSSOTが何かも知らなかったし、大事なものは意識して残しておかないといけない、なんてことも知りませんでした。

そのあと、前に整理した要点の話をもう一度してみました。

全部忘れていました。

あの瞬間は、本当にがっかりしました。

あんなに時間をかけて一緒に整理したのに。やっと少し成果らしいものができたと思ったばかりなのに、突然、何も起きていなかったみたいになってしまった。

仕方がないので、私はものすごく長いチャットを自分で少しずつ上にスクロールして、前の内容をひとつずつ探し直しました。

今度は、その問題をAIに話しました。

するとAIがひとつ案を出しました。

「先に出版担当を一人作って、大事なものを全部PDFにして残すのはどう?」

私たちはまた、素直にその通りにしました。

その結果——

整理するたびに、いちいち全部PDFにするという、とてもバカっぽい運用が始まりました。

今見ると、もちろんかなり笑えます。

でも少なくとも、その日からはAIが忘れてしまっても、こちらには探し直せるものが残るようになりました。

当時は記憶アーキテクチャなんて言葉も知らなかったし、「大事なものをどうやって残すか」のために、この先どれだけ遠くまで行くことになるのかも知りませんでした。

その時の私たちが思いついた、一番原始的な方法を使っただけです。

とりあえず、印刷して残す。

みつき

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